『アシアナ航空102便は、ただいまソウルから到着しました。』…

空港は、思ったほど混雑していなかった。


和尚の見送りには、愛子も来ていた。
ぼくは愛子に、「おまえ、裏切ったな」とこっそり言った。


「なにを?わたしが??」

「結花に、この日を教えただろう」

「だって話に出たから。翔ちゃんと一緒に行くから、そのとき一緒にお茶でもしようねって」

「ぼくが??結花と愛子と??」

「ちがうの?」

ぼくは、結花が和尚の出発の日を、自分から知りたがったことに胸がざわついた。

「あっ、知り合いがいる!翔ちゃん、ちょっと和尚に伝えてて」