和尚との別れの日、ぼくは着古したジーンズにジャケットを羽織って、早めに出かけようとしていた。
そのとき、キンコンと玄関の鐘が鳴った。
母が、「あらまぁ」と声を上げる。
部屋に入ってきたのは、結花だった。
「あれ?どうして来たの?」
「ううん、なんとなく。翔ちゃんの顔が見たくなって」
「ああ…でも悪いな。今日はちょっと出かけないと」
ぼくは、結花に、和尚の旅立ちを教えていなかった。
「翔ちゃん、いつもと雰囲気違うね」
「ああ、ジャケットのせいかな?いつもは破れたダウンだからな」
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