「ん…」

目を開けると、心配そうな顔の暁先輩がいた。

「あれ?あたし…」

「電柱に頭をぶつけたんだ。俺は止めたのに」

「あ…ははは…すみません…」

(怒らせちゃったかな…)

そんなあたしの考えを悟ったのか、

「大丈夫だ。怒ってはいない。だが、心配させるな。それだけだ」

と言った。

(心配してくれてたんだ…)

「ありがとうございます!!」

「礼には及ばない。…落ち着いたなら行くぞ。待たせている」

「え?待たせているって…授業?」

訳も分からず言うと、暁先輩はきょとんとした顔をした。

「お前…何も知らずに今日学校へ来たのか?」

「何も知らずにってことは…何かあるんですか!?」

今度は少し呆れた顔をした。

「…本当に何も知らなかったようだな。今日は臨時休校になっている。俺達以外はな」

その“俺達”が候補生とあたしのことであると、暁先輩を見て悟った。

「そうなんですか…じゃあ、その待たせてるっていうのは…」

「当たり前だ。他の候補生だ」

あたしは急いで会議室へと向かった。

扉を開けると全員揃っていた。

「白鳥!?大丈夫か!?」

「大ケガじゃなくてよかったです…」

「待ちくたびれちゃったよ。ペナルティ1回ね」

「…すみませんでした」

「まぁいいから席着いて!あのことについて、今から説明するから」

大野先生か候補生たちについての説明が始まった。