「ん?何?」

「もう帰るんですか!?」

「俺に帰ってほしくないなら、そう言ってくれれば…」

「いえ、その…会議、まだしてないのにいいのかなって思って…」

「…やっぱり帰る」

「あっ!ちょっと!」

あたしが必死に叫んだのも虚しく、水沢先輩は帰ってしまった。

「もう…折角ここに来たのに…来た意味全くないじゃん」

あたしがブツブツ言っていると、笑い声が聞こえた。

「あははははっ!!ホントキミって、おもしろいよね!!」

「…何がですか」

「だってさ、あのタイミングで『会議まだしてないから』って言う!?
普通は『一緒にいたいから』とか、そーいうのなんじゃないの?」

「あ…」

確かにアレは空気読まなさすぎだったかも…

「ま、おかげで分かったこともあるし、俺はいいんだけどね」

「え?」

あたしが聞き返すと、黒崎先輩は微笑んだ。

「なんでもないよ。じゃ、会議が好きなキミのために、早速会議でもやりますか」

「別にあたし、会議好きなわけじゃないですよ!!」

「あはは!ゴメンゴメン。『好き』なんじゃなくて、『大好き』なんだよね?」

「ちっ違いますって!!」

「あははっ!!」

完璧からかわれてる…

「あ、ちょっと聞きたいことあるから、一緒に帰ってもいい?」

「あ、はい」

「ありがと。じゃあ、会議始めようか」