†side水沢†


「…んだよ、コレ」

会議室を飛び出した後、俺は今まで感じたことのない気持ちになっていた。

いや、正確にはキスした後のアイツの発言からだ。

アイツの顔が、声が、頭から離れない。

「皇帝になるために利用するつもりだったのに…」

今までの女たちみたいに、用が済んだら捨てるつもりだったのに…

あんな反抗的な態度とった女は初めてだった。

俺がキスしたのに、それでも変わらない。

「…若干動揺してたくらい、か」

そんなアイツを見て、俺のモノにしたくなってしまった。

絶対に誰にも渡したくないと、思ってしまった。

でも…

「なんなんだよ、この気持ち…!!」

本当の恋をしたことがなかった俺には、この気持ちが恋であったとは、知らなかった。