“キーンコーン”

チャイムが鳴ったと同時に、あたしは暁先輩のクラスに向かった。

「どこにいるのかな…」

見慣れない上級生たちがたくさんいて、少し怯えながらあたしは暁先輩を探した。

「確か2年3組だったよね…あのっ暁先輩いらっしゃいますか?」

「あっちょっと待っててねー雄介ー!女の子が呼んでるー!!」

あたしは教室の前にいた人に頼んで、先輩を呼んでもらった。

「てゆーかさ、雄介とどんな関係なの?もしかして付き合ってるとか?もし付き合ってないんだったら俺と…」

「邪魔だ。通れない」

「おっ雄介早いじゃん。もうちょっとで口説けたのにー…もしかして嫉妬?」

「そんなわけないだろ。コイツはそんなに軽くない」

「ちぇー」

その人はクラスの中に戻っていった。

「…悪かったな。あれ、冗談だから本気にするなよ」

「大丈夫です。分かってますから」

「で、なんの用だ?」

「あっあの…朝、どうでしたか?」

あたしが尋ねると暁先輩は一瞬沈んだ顔をしたように見えた。

「あぁ…遅刻だったな。もう少しだったんだけどな」

「じゃあ、あたしを連れて行ってくれたから…本当にすみませんでした!!」

あたしは頭を下げて謝った。

「お前が謝ることじゃない。俺がそうしたかったからした。俺の意志なんだ」

「でも…」

「それに今朝遅かったのは…俺が寝坊したからだからな」

少し照れ気味で言った先輩がかわいくて、つい笑ってしまった。

それに…

「何笑っている」

「今朝遅かった理由が一緒だったんで、つい…すみません」

「…そうか」

「はい。とにかくすみませんでした」

「いや、全然気にするな。では、また後で」

あたしは暁先輩のクラスをあとにした。

「さてと…あたしはアソコ行かなきゃなー」

向かった先は2年3組の担任のところ。

(緊張する…)

あたしは一回深呼吸をして入った。