「坂原君、漣さん!!」


借り物競走の列には、鮎沢さんがいた。笑顔で手を振っている。


鮎沢さん……。前よりずっと元気になってる。今では、自分の気持ちをはっきりと言えるし、前向きになったように見える。



「おーっ!鮎沢さん!!俺らこれやっていい!?」



俺ら……??
今、俺らって言わなかった?



「漣さんはもともと、借り物競走だから問題無いですよ!」



鮎沢さんはあたしの手を引いて、ラインに並ばせた。


「な、何するの坂原?」


「何って…借り物競走に決まってんじゃん!!」



「位置について!!よーい…。」


バンッ


スタートの合図で、あたし達は走り出した。