「あの…」
りんごジュースから口を離して話しかけようとした。
「職員室って…どこですか?」
その人は頬を赤らめて聞いた。
『ちょっとりんごみたい。』
りんごの頬をまじまじと見つめる。
「あの…。」
りんごの人が困ったように首を傾げた。
りんごの頬が崩れて、わたしは我に戻った。
「お客様ですか?」
「えっと…」
「あっ!大滝先生!」
声のする方には小さな教頭先生が手を降りながら立っていた。
まるで小さな子供みたいに手で大きく弧を描いて。
「失礼します。」
『あとは教頭先生に任せればいいや。』
残りのりんごジュースを口に含んで空き缶を教室までにあるゴミ箱に捨てる。
教室に入ると、誰も来ていなかった。
時計は8時00分を過ぎていた。