どうしよう…―。



完璧に帰れない。


由紀さんが卵と醤油の帰りを待っているというのに。


そもそも知らない場所に行くんだから、なぜ携帯を持って行かなかったのか。


普通は馬鹿だと思う。
自分でもそう思った。


キョロキョロと辺りを見渡してもマンションや住宅街しかなくて、目印になる大きな時計のある公園は見当たらなかった。



あれさえ分かれば由紀さん家はすぐそばなのに。



スーパーへ戻ろうにも、自分が歩いてきた道すらわからない。



チカチカ電気がきれそうな街灯の下で、ただただ立ち尽くしかなかった。