部屋に戻り、ふと考えた。
知らない土地で
知らない友達と出会って
知らない恋をして
知らない高校生活が…
――明日から始まる。
正直やっぱり不安だな。
みんなみたいに地元の高校行けばよかったかな?
上手く生活していけるかな?
なんて考えちゃってるあたし。
いや、ダメだ、ダメだ。
きっと楽しいはずだ。
なんせ子供の頃から母から聞かされ、母と同じ高校に行きたいと夢見ていた高校なんだから。
ハンガーにかかった制服を見つめ、明日から始まる高校生活に夢と希望を抱いた。
「菜子ちゃーん。ちょっといいかしらー」
由紀さんの声がして、あたしは再びリビングへ足を運ぶ。