だって右手の人差し指で目から出ている笑い涙を拭っていたから。 「とりあえず早く帰りな。家の人待ってるよ」 そう言い残して、シャーとまた自転車をこぎだして行ってしまった。 あたしも急いで由紀さん家へ戻った。 ―――ガチャ。 やっとの思いで由紀さん家到着。 バタバタと駆け足の音が聞こえてくると 「菜子ちゃん!」 と心配そうな声であたしを呼ぶ由紀さんの姿があった。