「あっありがとう!」 「どういたしまして」 自転車の荷台から降りて、男の子に深々とお礼を言った。 「もう迷子になんないでね」 そういった時、春の夜風がフワッと吹いて思わず 「風みたいだね」 と男の子に言ってしまった。 男の子は目を真ん丸くして、ジッとあたしを見つめて―――お腹を抱えながら笑ってた。 「あははは!面白いね。初めてそんなこと言われた」 そんなに笑えるようなこといったかな?