「さっ、いいから。乗って。家の人待ってるんでしょ?」



あっ、そうだった。

もうこれ以上由紀さんを待たせることは出来ない。



男の子の言葉に甘えさせてもらうことにした。



「よし、せーの!」



あたしを乗せた自転車を勢いよくこぎはじめた。



風をきるような速さで進んでいく自転車。



やっぱりパーカー来てきてよかった。


なんて自転車の後ろで思ってたり。



「なんで道に迷ったの?」



自転車を走らせながら男の子が聞いてきた。