初めて会った君は風のようだった。 ピューと吹く冷たい北風じゃなくて、ふんわりと優しい春風みたい。 包みこんでくれるような暖かい風だった。 だから思わず「風みたい」なんて言ったら、君はお腹を抱えて笑ってた。 「名前は七海…菜子?ちゃんだっけ?」 初めて名前を呼ばれたときに、あたしはもう、君に恋をしていた。