「ユウくん」

澤井悠哉くん

は、幼い頃近所に住んでいた同級生の男の子で

幼稚園も小学校の時も、ずっと仲良く遊んでいた。


ひとりっこ同士だったから、
兄妹みたいにいつも一緒だった。


しょっちゅうこの公園やお寺で遊んでた。
ケガもたくさんしたし(笑)


春も夏も秋も冬も


ずっと一緒に走り回っていた。









--小学三年生の冬--

ユウくんはお父さんの転勤で、
広島に引越すことになった。



まだ幼かった私もユウくんも
引越し=お別れがピンとこなくて


「ひっこしだね」
「ヒロシマだー!」

と楽しそうに笑い合った。




ユウくんが引越す前の日も
この増上寺で遊んでいた。






陽が落ちてきた夕暮れのお寺で



「みう、これあげる!」


ユウくんがズボンのぽっけから何かを出した。


それを美羽の手にしっかりと握らせてくれた。






かわいいピンク色のお守りだった。



「このお寺でパパがくれたんだっ。

でも、ピンクは女の子の色だから

みうにあげる!」