「あんた一体なにしたの。いや、やっぱり言わないで」
「それで、どうする?姫野さん」
不敵な笑みをみせる江坂奏。
どうするもなにも、選択肢はひとつしかない。
母親に逆らおうものなら、きっとこの手紙の通りになるだろう。
奈美と離ればなれになるのは嫌だし、親に怒られるのも嫌だ。
一体なにしたの?そこまでして私が必要なの?
大声で怒鳴ってやりたいけど、そんなことをしても状況は変わらない。
もう腹をくくるしかない。
でも、いつか逃げ出すチャンスはきっとある。
弱みを握られたのなら、こっちも江坂奏の弱みを探せばいい。
だから、それまでの辛抱だ。
「わかった。ここでバイトする。その代わり、ちゃんと説明して」
「もちろんだよ」
そう言って江坂奏は微笑んだ。