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今日は1日大変だった。
自分の部屋のベッドに寝転びながら、ぼんやりと思考を巡らせる。
あれから結局、男の子はなんと無料で服を貸してくれた……というよりも、くれた。
正確には男の子のお母さんから。
男の子(名を国井公太くんというらしい)のお母さんは、デザイナーの仕事をしているらしく、「若い子の反応が知りたい」という理由で私に服を授けてくれた。
この服を着て、友達の意見を聞いて欲しい。そしてそれを今後の参考にしたいという。
だからといって無料でいただけるなんて……。
なんとも、太っ腹だ。
ちなみに、公太くんの私に対するオカマ疑惑も解け、一件落着といったところだ。
ところで、「あれ?お前男嫌いじゃないの?」と疑問に思われている方もいるだろう。
まあ、それは事実なのだけど、私が苦手だと思うのは同年代以上の男らしい。
自分でも何故なのかはわからない。年下は子供だからと思っているからかもしれない。
まあ、そんなどうでもいいことはおいといて。
江坂家にお留守番してる私の制服は無事だろうか。
可哀想な私のセーラー。
待っててくれ。
明日お迎えに行くからね!
それにしても江坂奏はいったい何のつもりなんだろう。
ゆっくりと考えるつもりでいたのに、うまく思考が回らない。
ベッドの上にいると、だんだんうとうとしてきた。
なんか、眠い…。
ちらっと脳裏に浮かぶ江坂奏の顔。
あの曖昧な笑顔。
何故だろう。
気になる。
でも眠い。
私はいつの間にか意識を手放した。
脳裏に焼き付く笑顔と共に。