「あの、なにか用ですか」
迫力に耐えられず、つい声をかけてしまった。
「えっとぉ……どこの学校の人ですかぁ?」
代表とされる女の子が上目遣いで見上げてくる。
さっきと話し方が雲泥の差だ。
アツシの話をしてた彼女たちは針山のようなツンツンした声だったのに、今は店員さんのような非常に気遣いのある声をしている。
それにしてもなんで学校……?
まさか、学校に通報しようとしてるんじゃ?
そんな危機を感じて咄嗟に、近所の高校名を口に出す。
「あ、同じ高校なんだあ!何年生なんですか?」
しまった。
彼女らの制服はブレザーで、私はセーラーだ。
明らかに違う。
全身から冷や汗が流れる。
しかし女の子達はそのことにはなんの追及もせず、色々な質問をしてくる。
え、この子たちはバカなの?
クラスはどこか、部活はやってるのか、恋人はいるのか。
それに対してボロが出ないように丁寧に答えていく。
まるで尋問だ……。
「そろそろ名前教えてよぉ」
「それは秘密かな」
えーなんでよー、と言いながらも彼女らは笑っている。
名前までバレたら終わりだ。
でも名前をしつこく聞いてこないから、通報目的ではない?
安心したのもつかの間女の子達は、じゃあ、とばかりに私の手を握ってきた。
「ねぇメアド教えて?ダメ?」
こ、これは!
メールで脅迫して金を巻き上げるパターンじゃない?
テレビでみた!
狙いはそっちだったか。
「ご、ごめんね。携帯持ってないから!じゃあね!」
一気に恐怖を感じた私は、そう告げると全速力で逃げ出した。