しばらく笑い続けた二人は、状況を理解してない私を見てまた笑い出す。
なんなの一体。
「姫野さんってばそこまで俺を嫌ってんの?やばい、笑いが止まんねー」
「亜莉子ちゃんって結構ハッキリ言うのねぇ」
口々に呟く二人を交互に眺めながらふと疑問に思ったことを話す。
「修羅場じゃないの?」
「違う違う」
そう言ったのは江坂奏だ。
それに付け足すように女の人が口を開く。
「ごめんねー怖かった?これはあたし達のちょっとした遊びなの。名付けて、『修羅場体験させてやろうぜごっこ』!性格悪い遊びだけど一回やると止められないのよー」
「遊び?」
ということは。
「まさか、実は姉弟でしたーとかそういうオチだったりして」
「当たりー!ちなみにあたしは姉の雪子(ユキコ)でーす」
雪子さんは首を傾げ可愛く笑ってみせた。
うん、可愛い。
じゃなくて!
ほんとの修羅場じゃなかったのか。
良かった怖かったー。
「今までの子は怯えてるだけか、奏の彼女ヅラして張り合って来てウザかったけどー、亜莉子ちゃんはなんか新鮮で楽しかったわー」
雪子さんは子供のようなキラキラとした目で私を見つめた。
゛今まで゛ってことは既に何回もやってるわけか。
よし、今日からこの方をお姉様とお呼びしよう。