春斗と別れ、俺と満月は教室に向かっていた。
──その時。
「─ねぇあの子って…」
「多分あの…」
廊下の真ん中辺りで人だかりが出来ていた。
周りの生徒達がボソボソと話している。
「どうしたんだ?」
「さぁ…?」
ちらりと人だかりに目を向けると、男子生徒が頬を赤らめながら話をしていた。
「…な、なんだよ…?」
その時、人だかりの中にいた二、三人の女生徒が領に気がついた。
「…あ!あの人って!」
「次席に落ちちゃった前の…」
領はふっと顔をしかめた。
そんな時、人だかりの中心から、間の抜けたような高い声が聞こえてきた。
「わ〜〜〜〜〜すみませんです〜〜通してくださ〜〜い」