「領ー!」 遠くで聞こえたその名前。 杏里は思わず振り返る。 「…!、あのっ、ちょっとどいて下さいっ」 取り巻き達を掻き分けて、声の聞こえた方に向かう。 「すみませんっ、すみませんっ」 色んな人にぶつかっては 謝って、杏里は急いだ。 ───やがて。