出てきたのは、小柄な少女だった。 俺は思わず見つめてしまった。 歩くたび、二つに結った髪が左右に揺れている。 顔立ちは幼く、ハッとするほど整っていた。 大人っぽい美しさというより、子供のような可愛らしさ。 「あの子は…」 隣の満月が声を漏らした。 「知り合いか?」 「ほら、あの子です。中間テスト首席の──…」 その時、満月の答えを遮って声が聞こえた。 「杏里ちゃん!!また来てね!」 「今度メアド教えて!」