教壇の前に立った朝倉は息を少し吸う。

さて、どんな紹介を見せてくれるのか楽しみだったりする。
個性的か、または普通なのか。
俺としては個性的なものを望んでいるが……多分普通なものだろう。



「……朝倉 七海(あさくら ななみ)、16歳。好きな言葉は弱肉強食。好きなものは強い奴。嫌いなものは弱い奴。…あ、弱い奴はあたしに話掛けないで下さい。うざったいから。」



教室中が静まり返った。
皆の表情が固まる。もちろん俺も固まる。
村上なんか口元をヒクヒクさせ、引きつった表情だ。

どうしたものか、この空気。
自己紹介は全くもって普通なものではなかった。

…いや個性的なものは確かに求めてたが…こんな……笑顔で毒を吐くとは思いもしない。
個性的過ぎて逆に引く。