「あのあと、おまえを助けたあとに
どうしようもなくなって、俺はおまえを一旦
俺の家につれてったわけ。
で、おまえはまだ寝てたから
俺のベッドに横にならせた。」


「あたし、全然記憶ないです…」


「だろうな。あの睡眠薬は
強かったんだろ。記憶を消すくらい。」


「恐ろしいですね……」

「だな。
で、おまえをベッドに入れたあと俺は一旦、寝室を離れようとしたんだよ。
そしたら…」


「…そしたら?」


「おまえさ、俺の腕をいきなり掴んで
『澤波センパイ……もう少し一緒にいて?お願いだから…』
って言ったわけ。」


「…あたし、そんなことを…っ!」

「ビックリすんなよな、俺のほうが驚いたっつーの。」


「スミマセン……」


「ま、それで添い寝してたわけ。で、そんとき
俺は風呂に入ろうと思って上を脱いでたから、
上半身裸だった。
そして、気が付いたら
朝だった。」

ま、こんなとこ。

そういうと、
白衣のポケットから、タバコを取り出した。

朝、みたときと同じメーカーの。

「そうだったんですか……。疑ってごめんなさい」


「ああ。わかったならいいけど。…あ、そだ
俺の鍵は?」


「あ、ポストにいれときました」

「そっか、サンキュ。」


「じゃあ、あたしはこれで…」



「おい。まだ話は終わってねぇよ」


理科室中に
低い声が響く。


「おまえさ、俺の秘密知っちゃったじゃん?」


「え…?秘密?」

あたし、なんか
浅倉の秘密知ったっけ…?

「俺さ、こーいうキャラじゃないじゃん?いつもは」

あ……

そうだ、
いつもはこの真逆だ。


「おまえ、これが素の俺だって知ったじゃん?」


「はい……」


「だから、このことは誰にもばらすなよ。ばらしたら……」


「ばらしたら……?」

恐る恐る顔をみる。


「おまえが昨日、あっこにいたこと、中山先生に言うから」



……え!?