私は黙った。
恥ずかしくて
なにも話せなかった。
そうしたら明奈が
私の手をひっぱり
無理矢理立たせた。

「今日はうちの家まで送ってや!!」

明奈の家のマンションを通る所に山本の家のマンションがあって、私の家は真逆。

山本と一緒に居れるなら
全然いいんだけど………


恥ずかしい!!!


同じ時間に終わった
ラグビー部の金田も
一緒に帰ることに。

お互い恥ずかしすぎて
横に並んで歩くのが
精一杯……。

明奈がくっつけようとするが
素直になれないせいか、
少々キレ気味になってしまう。
「手ぐらい繋ぎぃやぁ」

「手!!?」

山本と私は口を
合わせて言った。

「何言うてん!!」

さすがに山本も
それは恥ずかしいと否定。

「うちなんか毎日手繋いで帰ってるわ!」

「いやいや、まだうちら付き合ったばっかやし……」

「そうそう…」

隣で金田が面白そうに
微笑んでいる。

そんな会話をしているうちに
明奈の家の前についた。

「ほら!!さやか右手出して!!」
無理無理!!!と
頭を何回も振る。

山本も無理の繰り返し。

でも、さすがに
開き直ってきた……

私は勇気を振り絞って
山本の左手を
強引に握った。

「こ…これでいいやろ!!」

私も山本も恥ずかしさで
ずっと下を向いていた。

「お!!ほんじゃあそのまま帰りや!!バイバーイ」

左手で明奈と金田に手を振り
私は長い下り坂を山本と
手を繋いで帰った。