「いらっしゃい
加藤くん、早坂くん
今年も来てくれたのね」


瞬と悠太は軽く会釈して
二階へと上がっていった。
百合の部屋は13年前と何も変わっていない
二人はここで手を合わせた。


「毎年ありがとうね
百合も喜ぶと思うわ」


加代子は微笑み
下のリビングに二人を招く。


「ちょっとここで待っててね」


二人は床に座り部屋を見渡す。
百合の部屋どころか、リビングさえも
何も変わっていない。
きっと加代子は
13年前のままで止まってしまって
いるんだろう。
瞬もまた止まっているように


「…」

「…」


二人の沈黙は続く。
しかしその沈黙を破るように
玄関が開いた。


「久しぶり、瞬、悠太、百合のママ」


「こんにちは」


リビングの扉が開き、
そこにいたのは四人のうちの二人
佐藤 美海(サトウミウ)と
向 刻夜(ムカイトキヤ)だった。


「美海、刻夜久しぶりだな」


悠太は立ち上がり二人と上に上がる。
「瞬は?」と聞かれたが
一人になりたい気分だったので断った。

悠太、美海、刻夜、そして瞬
四人はこの家に集まった。
13年後の今日。
四人は集まってしまったのだ。