瞬は電車に乗り、地元へ行く。
瞬は高校を卒業し地元から離れた

理由は勿論百合だ。
百合との思い出が詰まった場所で
のうのうと暮らすことが
瞬には出来なかった。
瞬は逃げたのだ


「はぁ…」


朝起きて何回目の溜め息だろう
そうこうしている間に駅につき、
今度は地下鉄へ移動した。




ホームで電車を待っていると
誰かにぽんぽんと肩を叩かれた


「よ!瞬」


そこにいたのは四人の中の一人、
早坂 悠太(ハヤサカユウタ)だった。
小さい頃は悪ガキのガキ大将みたいな
悠太だったが、22になるとやっぱり
大人びた感じだ。


「おう、悠太久しぶりだな」


「二年振りか。
一昨年も昨年も確か仕事で
一日早く来たんだっけ」


「おう、今年は休みがとれたんだ」


今日は百合の命日。もちろん三人と会う
ただそれが嫌で昨年も一昨年も
一日早く行ったんだ。
ただ、今年はどうしても昨日
外せない仕事が入って行けなかった
だから仕方なく今日来た。それだけだ。


「二年しかたってないのに
瞬も大人っぽくなったな」


「悠太に言われたくねぇよ」


悠太は強いな。
こんなに笑えるなんて…
いや、こんなに無理して笑えるなんて。


百合、お前は本当に死んだのか?
13年たった今もどこかで
生きてるんじゃないのか?