買い物からの帰りよく公園を通りかかる
公園には子供連れの母親がいる。
もちろん母親は子供と
遊びに来たわけでなく、
近所の奥さんと話す為に来る。
旦那の悪口を言う人、姑の悪口を言う人
子供と遊びに行くという口実を作って
実際自分は他の奥さんと
悪口を言いあってる。

そんなことも知らずに無邪気に遊ぶ子は
可哀相という気持ちと
純粋で可愛いという気持ちになる。

加藤 瞬(カトウシュン)。
彼は微笑ましく子供を見つめる
そして自分の小さな頃を思い出す。

しかし、思い出して浮かび上がるのは
自分が遊んでいる姿ではなく、
ある一人の女の子だ。
その子が俺とあとの三人と
仲良く遊んでいる。


「帰るか」


瞬は自分の思い出を振り切るように呟き
一歩踏み出す。
ただ思い出を振り切るように。