「でもセンパイを泣かせてしまったのには変わりありません。」


「えっ?」




橘くんがゆっくりと手を頬に当ててやっと気が付いた。



「さっきから考えているんですけど、どうやって許してもらおうか思いつかないんです。」




それでため息か。



今の橘くんはいつもみたいに余裕の表情ではない。




何だかそれが可愛くて、これは計算じゃないよね?と思えれば、不思議と反抗する気持ちもなくなった。




「センパイ、本当に俺はセンパイだけなんです。信じられないなら何度だって言います。だから、俺と・・・付き合ってくだしゃい。」

「「えっ?」」




今、噛んだ?



みるみるうちに真っ赤になる橘くん。



もうおかしいくらいに真っ赤になっていく。 




「アハハ!!」



つい笑ってしまった。



何だかいつも余裕がないあたしに比べ橘くんはいつも自信満々の笑みを浮かべていた。



もしかしたら、あたしはそれが悔しくて反抗していたのかもしれない。



でも今の彼はいつものあたし以上に余裕がないらしい。



それが何だか妙に安心させられた。