「あなたはいつもあたしにセンパイだけって言ってた。だから、その言葉を信じようともしてたの。」


「じゃぁ・・・」


「でもさっきのあれは何?」

「あれって?」


「ちょっとちやほやされたからってあんな上機嫌になって・・・どこまであたしをからかえば気が済むの!」



気が付けば肩で荒い息をしながら、顔を真っ赤にして叫んでいた。



そんなあたしを見て、橘くんはため息を吐いた。




なに?やっと気付いた?




あたしはこんな女なの。




人にからかわれるのを一番嫌う、そんなプライドの高い女なの。




面倒でしょう?



こんな可愛げのない女なんかより、もっと可愛い女の人の方が



そう思ったときにはあたしは橘くんの腕の中にいた。




「ちょっと、何して」


「こんなこと初めてなんですよ。」


「えっ?」



顔をあげれば彼は静かにでも眉を寄せて微かに微笑んでいた。



「センパイを初めて見た時に感じた心が壊れるかと思うほどの衝撃なんて。」