え・・・嘘。そんな話し一言も




「そんなの嘘に決まってるだろ。」



声にハッとして後ろを振り向くと眉間にしわを寄せキリッとした目を細めてこっちを睨む橘くんがいた。



「橘くん・・・・・・」



顔を見るとさっきのことが浮かんでくる。




「なぜ嘘だとわかるんだい?」



フッと笑った柳葉くんに更に腹が立ったのか橘くんは拳を握りなおしていた。



「俺を見て嘲笑って言ったからだ。」



どういうこと?



「クスッ・・・正当な証拠とは言えないが、白状するよ。そうだよ、ただの冗談さ。」

「何が冗談だ。どうせ俺への当て付けだろ!」




な、何を話してるのかさっぱりわからない。



後輩たちはこのピリピリした雰囲気をマズイと判断したのかそそくさと自分達の階へ帰ってしまった。



あたしも早くこの場から去りたい。




「全く呆れた奴だ。最近ようやく上下関係というものをわきまえるようになったかと思ったのに、もうコレだ。君は雪ちゃんのことになると小学生レベルだな。」


「あ、あたし?」



何であたしが出てくんの?



「雪ちゃんはずっと僕を見ていたから気付かなかっただろうけど、僕はずっと君の後ろから僕を睨む彼を見ていたんだよ。」



気のせいかと思っていたけど、あたしと話した後にちょっと視線をずらして俄かに笑っていたのは橘くんがいたからだったんだ。




って納得している場合じゃない。



「橘くん。いくらムカつくからって柳葉くんは先輩なんだから、睨むなんて」


「あぁ、いいよ。雪ちゃん。」


「えっ?」



そう言うと、ここじゃ場所が悪いから屋上へ行こうと柳葉くんが言ったから、3人で屋上へ向かった。