「〜♪〜♪〜♪〜」



俺は鼻歌を歌いながら、早足でセンパイのもとに向かっていた。




それにしても先輩がちょっとでも俺に向いてくれてるなんて全然気付かなかったなぁ。



振り向かそうと必死だったから。



だけど、油断は禁物だ。
センパイの全てを手に入れる
までは紳士で爽やかで誠実な
男を演じてやる!




やっとセンパイを手に入れられるかもしれないという希望が見えてきた嬉しさで胸がいっぱいだった。




教室が近づき、フと顔をあげれば廊下に人だかりができていた。



何かあるのか?



近づいていくと声が何を言っているのかはっきり聞こえてくる。




「雪先輩、今度の演劇は何の役なんですか?」


「あ〜、あたしも先輩の相手役になりたいです!!」



フン、先輩の相手役は俺なんだよ!(まだ決まってないけど・・・)




「今度の役は、久しぶりに女役をやるんだ。まぁでもいつもみたいに男みたいな性格なんだけどね。」



女役・・・じゃぁ俺が男で



「女役なんですか?はぁ・・・きっとキレイでしょうねぇ!」


「先輩は顔がキレイですから美男美女になりますね。」



当たり前だ。きっとモデルなみだろうな。クールビューティーなお姫様───




そしてその横には王子(俺)が微笑み、誓いの口づけを



後輩に言われ照れながらありがとうと言うセンパイ。



だが次の瞬間、俺の妄想は無残にも砕け散った。



「でも、そしたら相手役はもちろん柳葉先輩ですよね!」



え────────?