「鬼長(おにおさ)の使いか」

「安心しろ。これ以上は近付くまい。
我らはただ贄の様子を見るよう、村長から命を受けただけだからな」

「ならば、とっとと失せろ。二度と里に近付くな。さもなくば……」


野菜を傍に置き、異様に伸びた鋭い爪を見せながら、雪は殺気を二人に放った。

その鋭い爪は狼そのものだった。

やっぱり異形の者なんだな、と改めて実感する俺がいた。

目も心なしか獣のようにも見える。

だがそんな雪にも二人はひるむ事はなく、そのまま何もせずに去って行った。