確かにこうして生きているのは不思議だ。

俺だってすぐに食われてその人生を終えると思っていたから、

ここまで生きているなんて思わなかった。

ほんの少しだけ連れ戻しに来たことを期待したけれど、その様子を見る限りそうではなさそうだ。


「俺を連れ戻しに来た……とかじゃなさそうだな」

「じっとしていろ」

「?」


やっぱりかみ合わない会話。少しは会話をしたいのに。

それを言う間も与えず、喋っていた方とは別の男が俺の胸に手をかざして、

何かを呪文を唱え出した。怖くなって逃げようとするも、

その行く手をもう一人の方が阻んで逃げる事も出来なかった。