ぬぐってもぬぐっても、涙がたまる。 ぎりぎり見えるところに、楽しそうに笑うみんな。 離れると迷子になる。行かなきゃいけない。 でも、カレが消えちゃう気がする。走りたくない。 「迷うよー!」 でも。これ以上、心配もかけたくない。 優しい声に、笑顔をつくって、あたしは走っていった。 「何たそがれてんすか? なんかありました?」 ゆれる電車。