「ありがとな、ここまで来てくれて」


改札を通っていく、あたしの大好きな人。


一生会えないわけじゃないのに、なんだか苦しいよ…。


片手をあげて、あたしにサヨナラをする。


このサヨナラは彼のクセ。


手を振るのは恥ずかしいし、"じゃあね"だけじゃ物足りないから。


あたしも思いっきり手を振った。


「遥!!」


幸せな言葉が耳に届く。


満面の笑みの彼が見えた。


ゆっくり、彼が口を動かす。