うちに帰ると、予想通り報道陣はいなかった。
「まーっ楓! まあまあまあ! 本物? 本物なの? やっだわーどうしたの?」
大袈裟に驚いてみせながら、バッシバッシ俺を叩きまくる目の前の人間は、俺の母親だったりする。
「ふっしぎなのよーそれがね? 今朝んなって急に誰も来なくなったの。諦めちゃったのかしらねぇ?」
んなわけねーだろ。
「あら。そちらどなた? お友達? …まーお友達ーっ? 大変大変お父さーんっ! 楓にお友達よー!」
「……」
「…君今までどういう人間だったのさ」
変わんねぇよ今と。
んな騒がれるほど知り合いがいないわけじゃねー。
「おお楓。帰ったのか」
「あ、どうも。僕轟っていいます。楓くんとは仲良くさせていただいて」
「そうですかー…こんなぶっきらぼうで無愛想でうんぬんかんぬんのやつと!」
「あのな…」
「ま、上がりなさい」
「はい。ありがとうございます」
満面の笑みでそう答え、俺より先に中へ入っていく蓮二。
「ハア……」
なんかもうすべてのことにため息をつき、ゆっくりと後を追った。