「な、なんでもない…」


梨音の毛を指でくるくるしながら言って、数秒後また立ち上がる。


「……お前落ち着きねぇな」


「そ、そう?」


そうだよなんで……。

昨日だって二人きりだったじゃない。


……え?

二人っきり……だから落ち着けないの…?

なんで…。


「あーうー…んー……」


やだやだやだあたし自分が分かんないよ。

どうしよどうしよ…。


「真裕?」


「うきゃあっ!」


「……なんなんだ」


そっ…そんなのこっちが聞きたい…。


近寄ってきて顔を覗き込んだかっくんが思いのほか近くて、びっくりして飛び上がってしまった。

本当ならかっくんが一緒にいて近くにいるのは嬉しいのに。


「かっくん……どうしよう…」


「なにが?」


「まおヘン」


「そりゃ今に始まったことじゃないだろ」


「そおでなくて」


…ってしかもどういう意味ですか。