そのあと外に出ると、野木さんはもう来ていた。


「ごめんなさーい! 遅くなっちゃった?」


「いえ。たった今着いたばかりですので」


野木さんて……本当優しいよね…。

気遣いがとても細かいっていうか。


「いちお遠回りしてね」


「了解いたしました」


車に乗り込み回り道をして帰った。

一時間ほどで着くところが、二時間もかかっちゃった。


…ましょうがないよね。

尾けられてたら大変だからね。


裏口の存在は、あたし達藤峰家の人間とごく少数の使用人しか知らない。

だからそこに人の姿はなかった。


「あ、真裕様! お待ちしておりました。ささ、中へ中へ。閉まってしまいます」


「お兄ちゃんありがとう~」


裏口には特別なセキュリティがしてあって、開けてからぴったし五分で鍵が閉まってしまう。

そしてそのあとは半日間、何をどうやっても開かないのだ。


「しゅっちゃん蓮くんなにしてるの? 早く早く」


「お、おお」


…?

へんなの…。