もし。

…もし、あいつが俺と同じように俺を想ってくれるなら。

そんなときが……来てくれるなら。


そうやって想い続けて五年が経った。

やっと出会えたんだ。

せめてそばにいたい。

それだけで……十分だ。



「お? なにしとんねん楓ー」


「入らないのかい?」


少し遅れてきた二人の声に我に返り、「なんでも」と返して今度こそ扉を開けた。



「あっ、かっくん!」


何事もなかったようにパッと笑顔を見せる真裕。


ずっと前からお前の笑顔が俺は好きだった。

現在(いま)だってそれにどれだけ救われてきたか。


…でも。

だからこそ、時折その笑顔は俺を苦しめる。




「…? なにこのしかくいの」


「真緒ちゃん…。それ三角」


「じゃなにこのさんかくの」


「おにぎりやんけ」


「えーっえーっなにそれー?」



真裕……。

俺は……どうすればいい?