―数分後風呂から出た俺は、濡れた髪を拭こうとしたその状態のまま固まっていた。
「……」
…幻覚が見える。…気がする。
「えーっえーっ。やだなにそのかっこ! 真緒可愛い~❤」
「かっくんの」
「真緒たん真緒たんホンマなんこれホンマなん!?」
「あ、見せて見せてー」
「大変そうだね。…僕もこんなとこまで引っ張ってこられるとは思わなかったけど」
「りんりんに?」
……おかしいだろが。
なんでいんだ?
「楓! 楓おまっ…これホンマにホンマか!?」
「俺に聞くな。そしてなぜいる」
たった数分しか経ってねぇだろ。
いくら空港とここが目と鼻の先といえど。
「時差ボケでねむーい。真緒ー今日どうするの?」
「えー? 分かんなーい」
「空港すごかったで。カメラ持ったおっちゃんいっぱいおった」
「僕ら本当なら声かけられるのに、無視されちゃったよ」
あまりに自由すぎるこいつらのせいで、部屋が一気に狭くなったように感じた。