「ななななにっ、なに? 今のなに!?」


電話越しに悲鳴が聞こえる一瞬前に、背後で扉の開く音がしていた。

風呂から出たにしては早すぎる。


「お前なにやってんだ? ……っておい…」


こいつなんつー恰好してんだよ。

無防備にもほどがあんぞ。タオルまくだけってお前…。


「出てくるなら服を着ろ」


「だ、だって…。…あれ、電話? 電話中なの? なんで悲鳴がしたの?」


「こっちはいいから、なんで出てきたわけ?」


「あ…。……着替え忘れちゃった♪」


「……」


なんでこんなに抜けてんだよ。

誰に似たんだよ親父さんよ。


「俺の着ろ。ほら」


時間がなくて、日本から持ってきたバッグをそのまま持ってきているので服ならそれなりにある。

一枚適当に出し、放り投げた。


「わーっありがとう❤」


服を抱きしめると、嬉しそうに笑ってまた戻っていった。


「……ハア…」


目のやり場に困るのなんの…。