…とは言ったものの…。
さ、さすがにここまでとは…!
「藤峰さーん! 藤峰真裕さーん?」
「いらっしゃいますかー?」
―ドンドンドンッ
「この間の復帰リサイタルといい、再び注目を浴びてますがいかがでしょう?」
「真裕さーん!」
いかがでしょうて!!
そんなんコメントのしようがないでしょ…。
試しに玄関のほうへ来てみると、取材陣はそこまで押しかけているようだった。
「真裕お嬢様! いけませんこんな所へ…」
メイドさんの一人が小声でそう言う。
「あってはならぬことですが、もし中に入られたり見られたりしたら大変です。さ、早く裏口の方へ」
早口で言われ、頷いてかっくんを連れて裏口へ走った。
「…お前ほんと人気もんだな」
「……」
のんきな。
そしてすごく他人事ですね。
あなた張本人だから。噂の。
そして負けずに人気者ですよー。