『じゃね! 空港に着いたら電話するから迎えに来なさいよ!』
「だから待ってった…」
―ぶつっ…ツーッツーッツー…
「……」
……うそでしょ?
どうなってんのこれ…。
「どうした? 間抜けに拍車がかかってんぞ」
「なによそれーっ」
「花梨だろ? なんて?」
「あ…それが……」
さっきの会話(にもなってない一方的な宣言)を事細かに説明すると、かっくんもものすごく呆れた顔をした。
「いくらなんでもフランスまで来るって……。あいつお前より歯止めきかねーのな」
「…どおゆう意味ですか」
とにかく裏口の用意しとかないと、とてもじゃないけど正門から出入りなんてできない。
ああ、それとそれと…車も目立たないもの用意させないと。
あ、部屋の準備もいるな…三人だよね?
空き部屋はあるけど……家具、足りないよね。調達しないと。
「待ってて」
かっくんに言って、室内電話を手に取る。
「あ、もしもしお兄ちゃん?」
『真裕様! これは一体どういうことですか!?』
「あー…うん、それはそれとして…。ちょっとお願いがあるんだけど」