父の遺志を…って?
『最近になってこれを見つけたんだ』
言いながら、一枚の紙切れを取り出したケイン。
差し出されたそれを目にして、あたしは…。
「…!」
…溢れる涙を、抑えることができなかった。
『親愛なる真裕へ
君がこれを読んでいるということは、私は約束を果たせぬまま世を去ったようだね。
君が最高潮に上り詰めるのを見られなくて非常に残念だ。
だがあの約束は、私の息子に託したい。
真裕、どうか私の為しえなかった夢を叶えてほしい。
本当にすまない。
心から愛しているよ。真裕…』
「先生……!」
手紙を抱きしめて涙を落とすあたしを、かっくんが抱き寄せてくれた。
『……事故の前に、父は余命宣告を受けていた』
え……。
『心臓に病気が見つかってね。一年持つかどうかと…言われていたんだ』
「…!」
一年…。
それって…。
『だからこそ、こうして手紙を遺していたんだ』