…え……。
え、今…?
ニコニコ笑ってる目の前の人。
この人が……先生の息子さんだっていうの?
『君のことはよく、父から聞いていた。才能もお金もあるのに驕らない、お嬢様らしくない女の子なんだって。とても可愛い子だとも聞いていた』
先生……。
「エロいだけじゃなかったんだねせんせえ。よかったっ。うううっ…」
「……」
『聞いていた通りだ。とても可愛らしいお嬢さんだね』
『ど、どうも』
しかし信じられない。
先生に子供がいたなんて!
一度もそんなこと聞いたことなかった。
先生は女の人に目がない人だったから、結婚してると思わなかった。
『そうですか……先生の』
なんだか申し訳ない。
先生が大事にしてたバイオリン……あんなことになっちゃったんだもん。
申し訳ないな…。
『ところでマヒロ、そこの彼が噂の婚約者だね?』
『え? あ…はい』
噂のね。うん。
事実がどうなのかは置いといてね。一応ね。