かっくんの言ったことは丸無視してベランダに続くような窓を指差した。
「父様に露天風呂作ってって言ってみたらつけてくれた」
「……」
『めんどくさくなったよ真裕~。なんかいい案ない?』って言われたからじゃあ露天風呂って、本当に言ってみただけなんだけどね。
そしたら本気でめんどくさかったらしくて、本当にそうしちゃった。
「一緒に入る?」
「入るかバカッ」
冗談ですお。
へらへら笑いながら、先にいただくことにした。
交流会の時にお食事は済ませてるし、後はお風呂に入って寝るだけだもんね。
ちゃっちゃと済ませちゃおう。
「のぞく?」
「……」
いやあね冗談ですとも。
ぴしぴしってそんな音たてなくても。
カラカラっと窓を開けると、白い湯気と甘やかな花の香りがむわわんと肌に纏わりついた。
「はわー…」
この花……。
「……趣味わる」
少なくともあたしは好きじゃないかな、うん。
今度オーナーに言っとこうかな。