「大丈夫よ行きましょ! 風が冷えてきたわ。すっかり秋ね…」


「そうだね。もう十月だもんねぇ…」


さすがに秋のにおいは感じるね。

先月はまだ暑かったのに…。


…とかなんとか言ってる間に連れて行かれてしまっていた。


「宝院学園音楽専門学校の方ですか? お待ちしておりました。皆さんお揃いですよ」


どきどきどき…。


「やあ、星野様ではないですか! お目にかかれて光栄でございます」


お、オーナー…。

どきどき。


「おや? そちらのお嬢様は…」


ぎっくーんっ。


「あらやだおほほ! お手洗いを催してしまったわ。お部屋はどこですか?」


「ああ、こちらにございます。カギを」


「あらどうも~。失礼します❤」


―ぴゅんっ


「はー…」


「くっくっく…」


「な、なによ蓮二」


「いや、ごまかし方がね…くくっ…」


「うっさいわよ!! ほら、鍵っ。一人ずつみたいね」


えっ……。

ひ、一人…?