「……」
圧倒的で確かな技術。
音にこもった何かしらの強い思い。
直接、流れ込んでくる。
だけど…。
「……」
だけどなんで?
かっくんが……遠いよ。
あたしじゃ……足りない。
あたしじゃ、かっくんの横に立てない…!
―パチ……パチパチパチ
演奏が終わって、しばらく静まり返っていたけれど。
一人が手を叩くと、我に返ったような拍手に包まれた。
「さすがだ…星野楓!」
「藤峰真裕と渡り合う実力は確かだな」
渡り合う?
渡り合う?
…違うよ。あたしなんて……。
「…お……真緒!」
「!! …え?」
「なにぼっとしてるのよ」
「え……あ…なんでもない」