きょとんと見ているうちに、「では、トップを飾りまするは我が校の誇るバイオリニスト、星野楓でございます」という言葉と共に拍手が鳴り響いた。
「じゃ」
楽器を持って立ち上がると、あたしの首を引き寄せておでこにキスを落とし、舞台に歩いて行った。
「…❤❤」
あたしはずっと……ぽおっとして見つめていた。
「…真緒、目がハート」
「顔に締まりがない」
「溶けとるがな」
かっっっっくいい!!
すてきすてき超すてき!
「はあ……❤すき…❤」
胸の前で両手を握りしめ、ずっとかっくんを見つめた。
パガニーニ…。
超絶技巧…。
頑張ってかっくん!
横からだったけど、バイオリンを構えた姿はやはり様になっていた。
「!!」
「!?」
……。
か……くん…。
すううっと流れるような動きで弾き始めたかっくん。
なぜだろう…。
ものすごく、遠い存在に思えた。